走行時のコミュニケーション

 無線機導入 無線局開局 バイクの連絡は効果大

 
ツーリング中バイクの台数が7〜8台になると列の途中で信号が変わり、停止し再び信号が青になって発信しても四輪が間に入ったり、連続交差点で見失うことがよくあります。不慣れな町や地域で待つ、あるいは探し合うための精神的な緊張やあせりから事故につながらないようにと無線機を使用しています。

三協特殊無線ケテルホンを導入
 1980年始めツーリング時の連絡用として無線機が必要ではないかと論議を重ね、当時のクラブ員全が取り付けることになりました。新潟市にあった(株)新潟中央部品(現亀田)からまとめて購入しています。
販売店では取り付けはしてくれないため自分でバイクに取り付けなければならず、ヘッドセット、本体、ノイズフィルタ、アンテナやPTTスイッチなどシートの下に収納、いやベルトに固定、いやバックの中がいいとか接続が悪い、分からないなど本当に苦労しながら何とか話ができるようになりました。
全員が無線の資格や知識もないため雨対策や接触不良などで安定して通話できるまでおよそ一年はかかるのでした。
 購入についてはクラブからの補助と自己負担少々で無線車です。
購入後15年になりますが大きな故障もなく現役で動作しています。なおケテルホンは微弱電波を使用するため免許、資格が必要ない無線機です。
(ナニナニスルト1ワットソウシンガカノウカモシレナイ)

○アマチュア無線の資格を取る

 話ができればそれで良いはずのクラブ員は、一人二人とアマチュア無線の4級を取り始めたのです。無いよりはあったほうが良いとのことで次々に免許を取得するため、無い人も取らずにはいられない状況になり、全員がアマチュア無線4級免許を持つことになってしまいました。
クラブ員になるためにはアマチュア無線の免許がないと入れない!血の掟ができてしまったのです。
 最初はケテルホンのみであった無線機もアマチュア無線ハンディ機を取り付ける人も出てきて、話ができる状態であれば機器は何でもよい(糸でんわやメガホンはさすがにだめ)ことになっています。

○JH0ZKYの秋葉山無線クラブを開局
 無線の免許があっても送信できないのがアマチュア無線、免許状が無いとだめなのです。そこで免許があって免許状が無い人に対しての救済策として社団局を開局します。ついにツーリングクラブが無線局を開局するのです。
 ツーリングに社団局の免許状を持っていけば多くの人が無線機を使い話すことができるぞーなどと喜んでいましたが給電点と免許状は離せません。
社団局はその構成員20人が無線免許証、無線機を用意してツーリングに行っても送信できるのはたった一人です。しかたがありません。

○バイクにセット
 PTTスイッチ、あるいは本体アンテナをバイク側に固定する、ヘルメットに取り付けるヘッドホンセットとの接続が必要になってきます。ケテルホンでは乗り降りのとき接続が簡単にできるよう集合ケーブルとDINコネクタ1個で接続できるようにしています。
ハンディ機はコネクタを付けることも可能ですし、ジャックにプラグをさしこむ人もいます。
 中にはハンディ機PTTともベルトに固定してイヤホンマイクを使用して、送信するときは片手になりますが「乗り降りの便利さを考えるとやめられない」という人もいます。
 

○ボックス(VOX)使用感

 ケテルホンでもハンディ機でもボックス機能がある機種があり、ハンズフリーで送受信が可能になります。このボックス(声を出すと自動的に送信する)に挑戦した人はたくさんいました。
トンネル内のこもり音、鼻をすする音でも送信してしまいますので誤送信を防ぐためマイクの感度は低くしなければなりません。その結果大きな声でマイクに話さなければならず、一日のツーリングで声がからからにかすれてしまいます。
さらに始めの音切れを防ぐため、あーと声を出してから話す。送信できているのか確認のしようがないなど便利なようで気を遣わなければならず。PTTスイッチの方が断然気楽でありボックスを利用する人は今はいません。※PTTとはプレストーク何とかという

○話している内容
 出発時の先頭と最後尾の確認。信号で列が切れた時の連絡。先頭バイクからのブラインドカーブでの対抗車通過状況などの情報。方向指示器切り忘れ注意。美人情報などを話しています。無線の技術的なことはあまり話しませんがノイズや変調のことはたくさん話します。
 先頭のバイクの人にねずみ取りに遭遇した場合、直ちに後続の車両に無線で連絡しできるだけ被害を少なく・・・!いや安全運転ができるようにお願いしますが今までに捕まったことはありません。先頭の人は道も間違えず、自分だけ捕まっても文句を言わないような人格者でないと務まらない。

○無変調対策
 20台前後の人が無線機を持ってくると時々送信スイッチを切り忘れたり、接触が悪く(良く)なり送信しっぱなしになることがあります。その時はどの無線機から注意してもだめなので、先頭の人が左手を挙げ大きく振るようにしています。後続の人は
左手合図があった場合、自分の送信スイッチを確認することにしています。たいへん効果があります。

○走行ノイズ
 
ケテルホンのマイクは特筆もので100q走行でも風切り音が入りません。スピードを上げた場合は受信する方のヘルメットの風切り音が大きくなり聞き取りにくくなります。ケテルホンの変調は浅く(音が小さい)。ハンディ機は変調が比較的深く(音が大きい)、話す人により受信時の音の大きさが変わります。だいたいケテルホンに合わせて音量を決めておき、ハンディ機の人が送信したときは大きな音でも我慢するしかありません。
 受信の音量設定も大切なもので大きな音は、耳が痛くなるのではなく、頭が痛くなります。多くの人はヘルメットにマイクとボリュームが付いたヘッドセットを利用しています。また電子ボリュームのハンディ機をバックに入れていたりすると調整が難しく苦労することになります。
 ハンディ機、携帯電話、そのオプションマイクを走行中に口元に持って話をしても30qくらいから風切り音が入り何を話しているか分かりません。受信に徹してください。
 気になるエンジンからのレギュレータノイズは小さな排気量のバイクがノイズフィルターを付けても入ることが多い傾向があります。バイクによっては焼き芋やさんの音に聞こえる時もあり、エンジンの回転数をリアルに送信することにもなります。いずれにしても他の人からうるさいとたたかれます。

○周波数について
 連絡波としてアマチュア無線144M帯を使います。その中で一番使用頻度の低い周波数として145.34MHzを使用しています。もちろん資格、免許状はありますし10分に一度はコールサインを言わなければなりません。しかし二輪での連絡通話はアマチュア無線に言う業務ではありません。厳密には違反になります。
アマチュア無線では無線に関したこと以外のことを話すとすべて違反になります
 使用周波数がなぜ144M帯かというと、一つはアマチュア無線の免許をとり、開局申請をしてコールサインをとり、無線機を購入するとかなりのお金がかかります。バイク乗りは金欠病という不治の病にかかっており、これ以上重症にならないため144M帯のみの安い無線機を購入するためです。
もう一つはケテルホンの無線機周波数が144.01MHzであり、石を作ってもらい(送受信2個で2,000円くらい)145.34MHzに変更できるからです。430M帯には逆立ちしても変更できません。ケテルホン周波数を変えてアマチュアFM帯に入っても微弱電波ですのでお咎め無し。
 144M帯メインチャンネル付近はアマチュア局がたくさん話をしていて空きチャンネルが少ない、バンドの高いところではチャンネルの所有者!?がいてトラブリます。前述しましたが145.34MHzが一番無難な周波数ではないかと使用しています。430M帯の周波数も決めていますがケテルホンが対応しないためほとんど使用していません。
 昔、警察無線がアナログの時代はその周波数の石(クリスタル)を作ってもらい、ケテルホンに実装しリアルタイムの情報を聞くことができました。今はデジタル化して残念ながら?聞けません。
 
○携帯電話について

 ほとんどの人がツーリングに携帯電話を持ってきています。しかし走行中の連絡手段には向きません。仮に電話機をハンドルに固定してハンズフリーで話せる状態にしても「よし先頭の人と話をしよう」、短縮ダイヤルボタンを押してと「もしもし???!あっトンネルだ」つながらない。「もう一回、・・・あー山の中だった」「風切り音で何を言っているのか分からない」「20台のバイクに話をするには20回ダイヤルするぞ」などの問題が出てきます。使用はできないことはないですが実用的ではありません。携帯電話は少人数のツーリングでは有効かもしれませんね。
携帯電話はバイクの連絡用には向きません