■Day6

トルファンからウルムチへラストラン

ツーリング最終日、トルファンから新疆ウイグル自治区の区都であるウルムチ、更に南山牧場までの180qを走る予定である。順調に走れば午前中について、午後からウルムチ市内観光となっている。

トルファン、ウルムチ間の都市を結ぶ幹線のシルクロードは全線舗装されている。更に高速道路も作られており、残念ではあるがラクダやロバで移動する時代ではないのである。このラクダやロバの代わりにバイクを乗っている私たちは、高速道路は走行不可となっている。並行して走っている旧道を、高速道路と変わらないだろうアクセル全開で走ってはいるが。

苦行の道、シルクロード

ウルムチまでは距離にして150qほど、ツーリングももうすぐ終わりだななんて、感傷気味に走っていたら天山おろしが吹いてきた。急激に強くなる風にあおられ、90q走行が80q、更にギアダウンして70q、50qと速度が出せなくなってきた。

走りにくい。対向車線反対側まで流され、更に転落しそうにもなる。ギヤもサードまで落として必死でこらえ走り続けるが、ホイルごとすくわれ転倒したらとの不安がつきまとう。
走るのを止めて風が治まるのを待ちたい、と思うがサポートカー、先頭のバイクは走り続ける。こんなに走るのが苦しいものとは、修行を通り越して苦行である。

砂漠で風が吹くことはよくあるらしく、高さのあるトラックなどは道路脇に風に垂直に止め、風が止むのを待っている。でないと横転するからだ。

遅い車を追い越したり、対向車線のトラックとすれ違ったときにバシッと衝撃波がきて、首とか身体が後ろへ持っていかれる。あまりのひどさに途中休憩の小屋で、ヘルメットの長いバイザーを外した。多少よくなり、強風の時は外すに限る・・・中国の風に学んだ。

バイクを所有する達板城旅行社が経営する南山牧場へ

ウルムチが近くなると山間を走ることもあり、風が弱まり走りやすくなった。
ウルムチは経済発展著しい都市であり、外国のバイク乗りが走るのには難しい交通事情らしい。バイクを返納する南山牧場へは市街地を走らず、近道か迂回なのか分からないが未舗装路を走るのだった。

南山牧場までは数十q、やっぱり未舗装の道はいい。でこぼこ道を私はほっとしながら走っていると、やや!道が湖に向かって消えている。
さすがにバイクの達人であるツアーメンバーは、停止してサポートカーを待つ。迂回路は見あたらない。まっすぐ走れと言ったら本当に走りそうな連中なのだから・・・。進路を変更して、なおも走り続ける。

どうやら未舗装の南山の麓を通る道を走っているようだ。寒くなってきた。山頂には雪もある。(前日は牧場でも雪が降ったとのこと)気温がぐっと下がり砂漠仕様の衣服の私は凍えてしまった。寒い。

牧場が近くなって斜面がきつくなり、川渡り、ギャップを越えるスペシャルステージをクリアして、南山牧場の駐車場へ。多少遅くなったが到着!部品脱落や破損などで一日何回も修理タイムを必要とした中国製バイクと、最終日に天山おろしを食らってしまったが、たいしたことなく全員無事に到着したのである。

牧場の他スキー場もありそのロッジで昼食となる。歓迎的もてなしで、円卓に食べ切れないほどの料理を出してもらい、更にシシカバブもでて満腹、満腹。

ウルムチ市内観光とさよならパーティ

スキー場ーロッジよりウルムチ市内を観光するためマイクロバスで移動。強度の緊張を強いられたバイクの走りから、リラックスできるバスに乗り市内観光。環境の変化に身体というか気持ちがついて行けない感じである。

ウルムチ市内を見渡せる小高い山が公園になっている紅山は砂漠、故城などを多く見ていたため、新緑の木々がきれいであった。「永遠の美女」というミイラ始め、タリム盆地発掘された土器、石器、文書や織物などが展示されているウィグル自治区博物館を見学した。
博物館は新築建て替え中で、館長自らが資金作りのため骨董品を売っていた。博物館の館長が「保証を付けて骨董品を売る」!ところは世界中でここだけだろう。この館長から花瓶を買ったツアーメンバーがいたが、ちょっとうらやましかった。

この後有名な二道橋バザールが統合された新疆国際大バザールに行って街中を散策する。メンバーそれぞれ必要な物を買い、さよならパーティの会場となる四川料理専門店の順荘食府へ向かう。

午後8時、現地旅行会社の社長はじめスタッフ、メカニックの人と私たちツアーメンバーが一堂に会して夕食会となる。
楽しくもあり辛くもあった旅の話を中心に歓談し、ツアーの完走、達成感を「乾杯」で確認しあった。
この乾杯がパイチュウと言う酒で、アルコール度は40度くらい、グラスに残さず飲むのが礼儀と言われ、飲み干さなければならない。
舌に含むとしびれてしまうから、喉に一気に流し込む。ことあるごとに乾杯、乾杯でかなりまわる。味が濃くおいしかった四川料理に何故か合う酒だと思ったが。

メカのキョウさん、酒には強くて、ツアーメンバーの人とサシで飲み比べをしていた。それはいいのだが飲む度に乾杯となるから、私たちも飲まなければならない。
楽しく交流し、別れを惜しみながらホテルへ。ツアーメンバーさすがに夜のウルムチへ繰り出す人はいないと思ったが・・・。明日は朝早く出発のため、荷物の整理をしてお休みなさい。

■Day7

ツアー7日目午前中はウルムチから西安へ、航空機で移動し午後から世界遺産の兵馬俑を見学した。ツアーメンバーは専用のマイクロバス、日本語ガイドと共に混雑する兵馬俑、華清池を見て回った。
中国は5月はメーデー、抗日記念日などで連休となり、中国国内外から、また日本人観光客も多く、世界遺産を始めどの観光地も混雑していた。気候もいいこともあるだろう。人が多かった。
更に見学地の予定ではなかったシルクロードは長安(西安)から始まる。その起点の記念碑にも行ってもらった。ここは空いており写真撮影をした。

シルクロードツーリング

NHK「シルクロード」が放映されたとき「新疆ウイグル自治区」「トルファン」「ウルムチ」という言葉と地下水道の映像が印象に残っていた。
今回のシルクロードバイクツアーでは、その印象として残っていた所をほとんど訪ねることができた。バイクだがらかっ飛ばすため、十分とはいえないまでも人々の暮らしや歴史など、この目で見て聞いて、いくらかは理解できたといえる。

ツアーに参加したメンバーは、全員が世界各地を駆けており、今回悠久の大地といえる中国、そしてシルクロードを選んで走りに来ている。困難な状況でも中国製バイクを難なく走らせるベテランであり、旅を楽しむ達人でもあった。
ツアーメンバーは、もっと走りたい!と、この秋、長野県信州ツーリングを計画し北京で分かれている。中国シルクロードバイクツーリング・・・まだ終わらないのである。

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トルファンの市街地を
抜け幹線道路へ →

ウルムチまでそんなに距離はない楽勝・・・・!!!

日本では突風が吹くというがその突風が3時間続くと思っていい。ワゴン車などは横転する。

メカの許さん      

オフでは泥よけに有効の長いバイザー、高速では抵抗発生装置となる。

南山に向かう道は湖の中へ。残念ながらバイクには潜水機能は付いないためまっすぐは走らなかった。

南山は砂漠にはない水があり草がありで放牧ができる

横断幕には、日本からようこそシルクロードへ、道祖神バイクツアーのみなさんとある。ツアーメンバーとスタッフで完走記念撮影。

ロッジでの食事        一路ウルムチへ

モスク 

本格的四川料理、本場物の麻婆豆腐もあった。・・・乾杯は続く。

ウルムチ市内         ラクダもいました      

長安(西安)シルクロード起点  ↓   

兵馬俑             白バイ ノーヘル      

池田氏         栗山氏         北野氏         塚島氏         中出氏        筆者川崎       

天山をバックに記念撮影