新津ツーリングクラブ 2006.9月 Web版 会報
ライダーにいつ
癒し系ツーリング (長野県中野市 高野辰之会館)
1 ♪兎追いし かの山 小鮒釣りし かの川 ♪
小学生以上の人なら誰もが一度は歌ったことのある歌、また、何度か聞いたことがある歌、「ふるさと」そして、「春の小川」「春が来た」「もみじ」「おぼろ月夜」など、いくつになっても忘れない歌の作詞家。それが、高野 辰之氏である。
氏は明治9年、千曲川を前景に、後方をなだらかな山に囲まれた棚田やリンゴ畑の広がるのどかな山裾の地、長野県中野市(旧豊田村)大字永江に生誕する。長じて国語、国文学の研究で認められ、文部省国語教科書編纂委員として活躍する一方、国定音楽教科書「尋常小学校唱歌」を同郷の中山 晋平と共に編纂し、数々の名曲を作り上げている。
今回のツーリングは、高野 辰之氏の業績を後世に残す高野 辰之記念館の訪問である。
2 出発は午前6時
「6時集合ではありません。6時出発です。」とのことで、前夜はいつもより早く布団に潜り込むが、起床時間が気になってなかなか寝付けないまま、目覚まし時計が鳴ったのは午前5時。熟睡した感じがしないままに出発準備に取りかかった。
5時45分には集合場所の新津支所前に到着したいので5時30分に車庫からR100RSを引っ張り出しエンジンに火を入れた。
快調なエンジン音は私には快いが、周りの家の人には不快感を与えるので、そそくさと新津支所に向かってRSに鞭を入れたのだった。
3 6時
予定通り5時45分に新津支所前に到着したところ、すでに5台ほどのバイクが先着していて我がRSを迎えてくれた。
この度の参加台数は24台ということでかなりの数である。まとまって走行すると前後200b以上になってしまうだろう。また、今回の参加者には新津田家ハーレーダビッドソン田中さんの二男が初参加。田中さんの甥の田巻さんはタンデムでの初参加。10年ぶりに参加するカワサキZZR1400は新津在住の佐藤さん。そして、カワサキZRX1200は姥ヶ山の本田さんも初参加と、新しい顔ぶれも見える今回のツーリングである。
6時には参加する方のほとんどが集合していたが、中には間に合わず6時を過ぎて来る人もいたので、出発前のミーティングは6時10分からとなってしまった。
いつものように川崎会長の挨拶、橋本幹事の隊形説明、コース説明と続き、全機が出発したのは6時25分であった。
天候は晴れ、気温23℃、本日も残暑厳しい日となることが予想されるが、楽しいツーリングが約束されているようであった。
4 ルート
コースはR403号で新潟市小須戸・中蒲原郡田上町、最近できた農道から三条市へ出て、市街地のR8号を一路長岡市に向かい、長岡からはR17号で小千谷市へ、小千谷市からはR117号で十日町・津南町経由で長野県に入り、栄村、飯山市、そして目的地の中野市豊田へと続く往路約160qである。
5 三条市 栄セブンイレブンへ
朝の爽やかな風を受けながら、一行はルート通り信濃川の右岸、新潟、小須戸三条線で三条市方向へ向かった。そして、石上大橋の一つ上流に架かる瑞雲橋を渡ってR8号に出る。とたん、道路は片側二車線の一般道路ではあるが高速道路まがいの直線道路となり、三条大橋を越え、直江町を過ぎるまではスピード豊かな車が幅をきかせるのである。今日も一行が左車線を法定速度+αで走行中、右車線をかなりのスピードで走って来て、前が塞がれるとスクランブル隊形で走っている我々の列に割り込んできた自家用車が2台あった。少しのスペースが有れば前方へ出ようと伺いながらフラフラ走っているのは、心に余裕のない人なのだろう。
貝喰新田から千把野新田付近までの約3qは片側一車線の直線道路となっていて、追い越し不可能の道路であるが、我慢をしながら走行していると、三条市と見附市の境付近にセブンイレブンがある。
一行は、朝食も食べずに来ている人が多いのでちょっと早めの休憩と、朝食タイムを取ることとなった。
新津を出発して45分、距離は35q。
6 長野県栄村「道の駅 信越さかえ」へ
栄セブンイレブンで20分の休憩後7時30分にセブンイレブンを後にした。
ルート通りR8号で見附市、長岡市、小千谷市を走行するが、長岡市を過ぎて小千谷市に入ると、そこかしこに一昨年の中越大地震の跡がかいま見られる。二年を経過してもいまだに道路改修が行われていたり、地震で家屋が崩壊して避難住宅に住むことを余儀なくされている山間地の人がいるのである。
小千谷市からは道をR117号へと進路を取り、十日町市街を走り抜けると津南町である。津南町の中心地そして郊外を走ること20分ほどでR117号は新潟県と長野県の県境栄村へと続く。県境の橋を渡り1qで今回2回目の休憩地「道の駅 信越さかえ」に到着した。時刻は午前9時30分。栄セブンイレブンから2時間、93qの距離である。
7 道の駅 信越さかえ
新潟県から長野県に通じる大きな国道はR18号とR117号の2本である。2本のうちR117号の栄村では天候の激変がこれまでに何回か起きている。新潟県側が悪天候でも栄村からは好天に変わったり、反対に長野県側では好天で快調に走行できたのが、道の駅に着いたとたん土砂降りの雨になったりするのである。ここは本当は栄村ではなく、境村ではないかと思うのである。
大きな道の駅ではないが、ライダーはこの道の駅で一息入れて目的地に向かうのに都合が良いのか、いつもかなりの台数のバイクが駐車している。今日も我々一行の他に10数台のバイク集団が2組先着していた。
休憩時間は45分と長めに合ったのでクラブ員はそれぞれ水分補給、食物補給などに時間を使い、のんびり休んでいた。
特筆すべきことは、施設内の物品販売をしている少し昔のお姉さんとのの会話である。農産物の話をしているうちに「買ってくれ。」「帰りなら買うが、往路なので買ったらひからびてしまって食えなくなる。」「それならとっておくから帰りによればいい。」「帰りの道はまだ考えていない。」「安くて新鮮だから是非帰りに寄ってくれ。」話しているうち、とうとう買ってしまうことになって復路はR117号を戻らざるを得なくなってしまった。買うことになったのはトウモロコシとキノコとその他であるが、調理について面白い情報が入手できた。トウモロコシを茹でるのに電子レンジを使うと良い。外側の皮を2〜3枚むいてラップにも包まず皿の上に置いて、生から6分間加熱すると水から茹でるよりおいしく茹で上がる。とのことである。この方法は後日試してみたが、本当においしく茹で上がったことを報告する。
8 R117号
「道の駅 信越さかえ」で45分間の長めの休憩したあと、10時15分、本日の目的地、「高野 辰之記念館」に向けて出発した。
栄村を流れる大河は新潟県では信濃川と言うが、長野県では千曲側と名前が変わる。R117号は風光明媚な千曲川沿いを南西方向に伸びる片側一車線道路である。
秋の紅葉シーズンになると沿道には沢山のリンゴ販売店が並ぶことからアップルロードとも呼ばれている。しかし、今の時期は交通量が少ない上に、飯山市の入り口までの10q以上に信号機がないことから、ライダーにとっては別の意味で「おいしい」R117号となる。
9 癒しの家「高野 辰之記念館」
「道の駅 信越さかえ」を出発して45分、11時ちょうどに高野 辰之記念館に到着した、距離は38q、新津からは166qであった。記念館前にて早速集合写真を撮った後、記念館に入館した。
さて、記念館は飯山市と中野市の入り組んだ旧豊田村、現中野市豊田の永田小学校旧校舎跡地、かって氏が小学校時代を過ごした永江学校の地に平成3年4月に竣工し、年間約1万人の人が訪れるという。
館は純日本風の木造建築で、右は2階建て、左が土蔵作りとなっており、全館に氏の業績が展示されている。また、大正時代の学校の音楽室を再現したような部屋では、ビデオプロジェクターで大形スクリーンにかつての豊田村の風景や氏が作詞した文部省唱歌を歌う子どもたちが映し出されている。我々一行はめいめい展示を見学したり、VTRを見たり聞いたりしてゆったりとした時間の中に身を置いているのだった。
格調の高い新津ツーリングクラブでもある。
10 大盛りざるそば
「高野 辰之記念館」で1時間の見学休憩後、昼食を記念館近くの「道の駅 ふるさと豊田」で食べるため駐車場に行くと、新津ツーリングクラブ長野支部の森さんが自家栽培のリンゴをクラブ員に配ってくださっていた。この時期に取り立てのリンゴをくださった森さんには感謝感謝である。
さて、全員「道の駅 ふるさと豊田」に到着し、昼食を注文したのであるが、驚かされたのは大盛りざるそばである。普通盛りのざるそばは430円、大盛りざるそばは800円と倍近い値段なのだが、盛りがすごいのである。注文した人も驚く盛りで、クラブ員曰く大盛りではなく、「山盛りだ。」
11 解散
それぞれが昼食を食べ終えて「道の駅 ふるさと豊田」を見学しているうちに時間は午後1時を過ぎていた。
駐車場の庇の下で解散式となった。
刈谷副会長の挨拶、「予定通りここまできた。そして予定通り解散となる。以後は各自のペースで事故無く家まで帰っていただきたい。これで終わります。」
時間は午後1時15分であった。
12 復路は
今回のツーリングは現地解散ツーリングである。
参加したメンバーの帰路はグループ、ソロ、ルートもバラバラと多種多様である。
当初、初秋の斑尾高原を通って新井市に抜け、上越市から高速道路を利用して帰宅しようかとも思っていたが、「道の駅 信越さかえ」でトウモロコシなどの予約をしていたため、若い頃バイクツーリングで弥次喜多道中を繰り広げたカワサキゼファーの大内氏とR117号を戻ることにして午後1時30分に「道の駅 ふるさと豊田」をあとにした。 途中野沢温泉で汗を流して時間を調節し、「道の駅 信越さかえ」には午後3時30分頃の着とした。
大内氏との弥次喜多道中はいずれ報告する機会を見つけたい。
13 野沢温泉 横落の湯(よこちのゆ)
野沢温泉の町中には、至る所に温泉が自噴しており、その数30とも言われ、「外湯」と呼ばれる無料の共同浴場が13ヵ所も点在している。
今回入った共同浴場は「横落の湯」湯の出口の温度は80℃以上の熱湯である。泉質は含石膏−食塩、硫黄泉。効能は皮膚病には良く効くと言われ、多くの人に親しまれている湯である。
水を大量に入れて温度を下げないと湯船に入ることは不可能であるため、水道の蛇口近くに座っている人に場所を譲っていただき、体を慣らしながら入湯した。熱めではあるが、汗をかいた体にはすこぶる気持ちが良いのである。大内氏や、十日町から来た方、埼玉県から来た方の4人で湯船に入ったり出たりしながらしばし温泉の話に花を咲かせた。しょっちゅう野沢温泉に入りに来るという十日町の人が言うには「野沢温泉の熱い湯を水で薄めると地元の人は嫌な顔をする。そのときの温泉の入り方は、両手と両足の平を湯から出して入っていると良い。特に冬は気温が低いのであまり熱さを感じなく入れる。」のだと言う。実際にしてみると、確かに湯の温度が下がったように感じるのである。体のラジエーター効果なのだろうか。皆さんも熱い湯に入るとき試してみてください。
14 再び「道の駅 信越さかえ」
野沢温泉 横落の湯では体をかなり冷まして、汗を止めてから服を着て外に出たが、そこはまた熱い日差しの世界であった。
コンビニでソフトクリームを食べ、水分を補給するなどをして汗を引っ込めてから観光客から再びライダーに変身し、以後は快適なR117号を走ること30分で「道の駅 信越さかえ」に到着したのは午後3時過ぎであった。朝方庇の下に並べられていた野菜類のほぼ大半は売れ切れていたが、予約してあったトウモロコシ他はしっかり確保してあって、少し昔のお姉さんがにこやかに迎えてくれた。代金を払い、少しの休憩後大内氏と長野県を後にした。
15 帰宅
復路は往路と全く同じコースを逆送したのであるが、時刻が4時過ぎということで、少し道路は混み合っていた。しかし、途中一カ所の休憩を挟み、ほぼ順調に小須戸まで戻ることができた。R100RSを車庫に入れ、エンジンを止めたのは午後7時であった。
トリップメーターは316q。心地よい疲れを感じながら、耳には「高野 辰之記念館」で聞いた「ふる郷
」のメロディー ♪兎追いし かの山 小鮒釣りし かの川 ♪ が聞こえていた。 by いしい