新津ツーリングクラブ 2003.07月 Web版 会報


ライダーにいつ


 いわき一泊ツーリング(福島県いわき市)


 今年の一泊ツーリングの目的地は福島県いわき市小名浜港である。日本海から太平洋までの日本を横断する全長600㎞近い往復のツーリングは、初日に旅館に集合し、翌朝参加者全員で集団走行して小名浜港まで行き、そこで解散するという現地集合、現地解散ツーリングである。


1 思い返すと1年前
7月11日(金)の夜は感情が高ぶりなかなか寝付けなかった。
 それは、昨年の一泊ツーリングの半月前のことであった。ようやく日程調整をして、男鹿半島一泊ツーリングに参加ができることとなり、勇んで橋本さんの店へ行って参加申し込みをした日の出来事だった。参加費も払い、梅雨のためしばらく乗っていないR80の調子を見ながら五泉市から村松町へと広域農道を気持ちよく走っていたその時、前方に白い自家用車がフロントを田んぼに入る細い道に突っこんで止まっているのを確認した。中に人影が見えなかったので50㎞/hで接近していくと、車は15㍍先でいきなりバックで農道へ出て来たのだ。R80は進路を塞がれてしまったのである。 どうしようもなく転倒、滑走、衝突。体は救急車で救急指定病院へ運ばれ全治2ヵ月の鎖骨骨折。 R80は全損という結果、泣く泣く家で療養を余儀なくされたのである。
骨折も9月には完治したが、お気に入りのR80は無くなり、R1150RTに乗ってはみたが、どうにもOHVの乗り味を忘れられなくて、先日1987年のR100RSを購入したので、今回はなんとしてもバイクで行きたかったのである。
 午前2時、これではツーリングに差し障りがあると考え、こっそり起きてワンカップを一本半ほど飲み、ようやく3時頃寝ることができたのだった。

2 1日目の朝 7月12日(土)
7時に起床。この週は何かと仕事が忙しくて、ツーリングの準備は何もしていない。
外は小雨が降っているが、バイク走行に支障があるほどではない。今日の天候のことを考えると9時には出発したいのでゼルビス石井を起こす。朝食もそこそこに出発準備に取りかかり、8時30分頃には無線機の調整を残すだけになった頃、1800ゴールドウイングサイドカーの板井さんから電話が来た。ゼルビス石井が応対して私たちの計画を話しているようだ。一緒に行こうとのお誘いであった。人数が多い方が楽しく走れるので、途中で合流して現地を目指すことになった。  

3 少し走るとそこは良い天気
 予定より少し遅れて9時15分に出発する。相変わらず小雨が降っているが気になる降りでもないし、走り始めてしまえば雨もまた楽しいものである。県道66号で金津峠を越え五泉市に入った頃、板井さんからの無線が入って来た。板井さんは私たちより少し早く家を出て、五泉市と安田町の境にいるとのことである。阿賀野川に架かる馬下橋を渡り、国道49号に出ると太陽SSがある。給油もしなければならないのでSSで待ち合わせをした。全車満タンでSSを出ると、なんと雨は上がり、路面も乾燥しているではないか。交通量も少なく快適に国道49号の阿賀野川右岸を走ることが出来たのでる。
少しの雨を恐れて自動車で来なかったことを神様に感謝しながら県境までのワインディングを走行して、最初の休憩地点、福島県西会津町野沢のセブンイレブンに到着したのは10時45分。

4  雨上がりの猪苗代湖
カッパを脱いだりサイドカーの幌を外したりして、セブンイレブンで30分ほど休憩した後、11時15分にセブンイレブンを経った。このときの気温は27℃。危険防止のためジャケットを着ているがどうにも我慢の出来ない気温となっている。汗をかきながら国道49号を東進すると間もなく右に猪苗代湖が見えてきた。湖は遠くに薄ねずみ色の雲を被った山々を湖面に映すとともに、濃い空の青を反射して例えようが無い群青に染まっている。無線で「良い景色ですね。」「今日来て良かったですね。」等と会話をしながら12時15分に猪苗代町の「世界のガラス館」に到着した。

5 渋滞の郡山市内
駐車場の喜多方ラーメンの店でそれぞれがラーメンを食べた後、店内一週をしてきれいなガラス細工を見学。午後1時15分、郡山方面に向けて走り始めた。気温は30℃。
あまりの暑さにジャケットを脱いで、気持ちよく国道49号を進行し、郡山市街地に入ったのは午後2時30分位であった。ところが、後300㍍で国道4号と交差するというところは大渋滞となっていた。車の流れとともにノロノロ運転で100㍍も進んだ頃、無線が入った。川崎会長さんが私たちの後ろについていたのである。 会長さんは国道49号で津川町から上川村を抜け、一番のお気に入り林道「室谷林道」で福島県に入り、猪苗代湖を一周して国道49号でここまで来たのだそうだ。「なんと早いことか。」我々の孫連れのんびりツーリングとはちと訳が違うのである。川崎会長さんからデジカメで何枚か写真を撮ってもらいながら進むこと30分。ようやく国道4号との交差点に着いた。ここで渋滞の原因が分かった。交差点角のコジマ電気がセールをしていたのである。警備員が店の駐車場から出る車のために国道を走る車を止めていたのだ。このため、ほぼ1時間近いロスを出してしまった。

6 リカちゃんキャッスル
国道49号は4号との交差点を過ぎるとワインディング続く楽しい道路である。次の目的地は小野町にある「リカちゃんキャッスル」。チョロQやタマごっち等の玩具のタカラが30年前から作っている人形「リカちゃん」の工場をお城のような造りにして、一階は工場、二階は展示場として見学が出来るようになっている。板井さんのお孫さん綾ちゃんが見たいと言うので少し回り道をすることにしていた。道順では国道49号から国道349号に入り、10㎞ほどで着くのであるが、渋滞の時間を回復しようと県道らしき道路を使ってショートカットしたのが悪かった。少し行くと山道風になって人家もあまり無くなり、町はずれという雰囲気になってきた。心配したゼルビス石井から「この道で良いか?」との無線で道を確認すると、どうやら市街地には続くが完全に間違っていた。市街地に続いていればそのうち国道349号に出ると言うのが分かっていたので、そのまま進行して行くとようやく国道349号にアクセス。リカちゃんキャッスルに着いたのは午後4時10分と大幅な遅れとなってしまった。綾ちゃんはカーの中で寝ていたが、目をさますとそこはお城ということで大喜びの30分であった。

7 旬味の宿「うお昭」
午後4時40分リカちゃんキャッスルを出発し、国道49号から国道6号へと進み、いわき湯本駅前の「うお昭」に着いたのは途中の看板にだまされて隣駅の「内郷」駅に立ち寄ってからだったので午後5時20分であった。先に着いていた人の話で「一番遅く宿に着いた。」とのことで、駐車場はクラブの人のバイクがすでに整然と止めてあった。
宿に入って部屋で少し休憩し、着替えも面倒なので着て来たままの服装で宴会場へ向かい開宴となる。
川崎会長さんの挨拶「無事にここまでご苦労様、楽しく飲みましょう。」お約束の自己紹介、そして、いわき市が地元の出羽さんの乾杯の音頭で酒宴が始まった。 いつもはテーブルに銘々の料理が並ぶこの一泊ツーリングの宴会料理であるが、今日はなんとお膳に溢れる料理での宴会、又、子どもにはお子様用料理とこれまでにない宿のもてなしに、時間の過ぎるのを忘れて飲みかつ食べていた人が多い宴会でした。
さらに、「うお昭」のお風呂は私が大好きな天然硫黄泉。ほどよい硫黄の香りに体を包みこまれ、手足を伸ばしてゆったりと今日のツーリングを思い出して満足感に浸たれたのは最高の贅沢でもありました。本日の走行距離238㎞。

8 2日目朝
午前5時に目が覚めてしまった。右横を見ると円山さん、左は坪川さんが寝ている。さらにその左に加茂市の小林さんが気持ちよさそうに寝ている。昨夜は適度の疲労とおいしいお酒や肴で気分は最高。その後は風呂からあがって午後10時半頃に眠ってしまったが、そのときには円山さんと少し話をしてから眠ったのを覚えている。二次会から帰ってきた坪川さんと小林さんに全く気づかないのは熟睡していた証拠であろう。 気持ち良く目覚めた後は朝風呂だ。 野村さんが先に入っていて、二人で「天候は曇りだが、何とか一日もちそうな天気予報だから今日も楽しいツーリングが出来そうだ。」などと話しをしているうちに板井さんと小山さんも入ってきた。一汗かいて風呂から出たが、天気は曇り、気温も寒くない。今日もR100RSは楽しい一日を約束してくれるだろう。

9 小名浜港
7時30分の朝食後、8時過ぎから出発準備にかかる。9時に旅館を出る予定だが、旅館の前で記念写真を撮るので、9時前にはそれれぞれ自分のバイクを旅館前に移動し始めている。
全員が揃ったところで円山さんのデジカメでパチリ。今日の先頭は坪川さんで、最後尾に川崎会長さんが走る予定であったが、川崎会長さんの無線機の調子が良くないため、私が最後尾で先頭と連絡を取りながら小名浜港まで走ることになった。湯本の市街地を抜け、アップダウンの多いバイパスをメンバーの後ろ姿を見ながら走ったが、2列で整然として走る姿はとても美しいものであった。思わず無線機で「大変なきれいな走りです。」と流してしまった。10時頃小名浜港ララミューに到着した。ララミューは新潟県で言えば寺泊の魚のアメ横を規模を大きくした建物である。その時の天候は曇りだったが、どうも雨が降りそうな模様になりつつある。一行は10時頃解散地点で記念写真を撮り、川崎会長さんの「家に着くまで事故が無いよう気をつけて走ってください。ここで解散します。」の後、めいめいのコースで帰路につくことになった。

10 雲の中の国道289号
解散後、板井さんファミリーとララミューを散策し、お土産を買った後、帰路は来た道を戻らないで、国道6~289~118~121~49~磐越道とした。
小名浜港から国道6号を南下し、勿来から国道289号へ右折。ここでガソリンを給油してから四時川渓谷を見ながら棚倉町を経由して白河市に抜ける楽しい山岳コースとなるはずだったが、天気は給油した頃から山は厚い雲に覆われ視界が悪くなっていった。国道289号は最初両側に並木がある整備された道であったが、そのうちセンターラインもない細い山道となる。さらに、四時川渓谷のあたりは雲の中で視界は10㍍、、ヘルメットのシールドをあげないと水滴で前方が見えなくなった。暗い霧と雨を眼鏡を拭き拭き時速も10キロの低速でようやく峠を超えて棚倉町にたどり着いたのは12時過ぎだった。朝食をしっかりお代わりをしたおかげもあって、全員があまりお腹もすいていないという確認ができたので、途中のヤマザキデイリーで休憩時に店先に売っている一房100円のバナナを腹の足しに食べた。 休憩後に雨が激しく降ってきたが、もう気持ちは雨がなんだと割り切っていたので一路白河市を目指して車の流れに沿って走った。

11 山中でのエンスト
白河市街に着いたのは午後2時を少し回った頃である。国道4号を須賀川市方面に3㎞ほど走ると羽鳥湖へ向かう県道37号の入り口がある。国道4号に分かれ県道37号を北上しているときであった。山道もかなり入った頃、板井さんが無線で子どもがトイレに行きたいので適当なところで止めてもらいたいとのことであった。少し走った林道の入り口が広かったので停車し、トイレ休憩とした。事件はそのときに起こったのである。エンジンをかけっぱなしにしていたが、雨のため暗い山道であることから、ヘッドライトと左ウインカーをつけっぱなしにしていて10分。いざ出発というときそれまで快調だったエンジンがアクセルを開けたとたんストップしたのである。あわててセルボタンを押すと、「カチ、カチ、カチ、カチ、ジーー。」 バッテリー上がりの音である。 参った。ここでR100RSを置いていくことになるのか?!。板井さんが押しがけをしてみようと言ってくれたのを幸いに、坂下方向にR100RSを向け、ギヤを3速に入れて押してもらうことにした。押すこと2回、20㍍程走ってもらったおかげでR100RSは何とかエンジンに火が入り、羽鳥湖へ向かうことが出来たのである。
羽鳥湖からは国道118号を左折し、一気に国道121号をへと向かった。この時、気温18℃、雨は少し小降りになって来た。

12 塔のへつり
国道121号とのT字路を左折し、会津田島方面に5㎞程向かうと「塔のへつり」に到着する。大川の岩壁が長い年月の間に川によって浸食され、ちょうど仏塔の様相を示す奇岩となって見られる。吊り橋を渡った対岸の岩場に細い道がついていて岩棚を歩くことが出来る。「へつり」というのはこの地方の方言で「川岸の険しい道」とか「へっぴり腰で恐る恐る歩く姿」を指しているのだそうだ。駐車場でカッパを脱ぎ、記念写真を撮ってから「へつり」を5人で歩いた。今でこそ観光名所であるが、昔は厳しい道だったのであろう。
「塔のへつり」では曇り空ではあったが気温も20℃と暖かく、先行き天気はもっと良くなるだろうとの推測で、近くの食堂で遅い昼食をとることにした。時間は午後3時30分

13 磐越自動車道
国道121号へ戻り、塔のへつりの近くにある「マザーリップ」と言う感じの良い軽食・喫茶で遅い昼食を食べる。板井さんと私は飲み物だけにしたが、二人のお孫さんとゼルビス石井はしっかりとスパゲティ、カレー、オムライス等を食べていた。この食事が後で大変なことになるのである。4時30分食堂を後にし、国道121号を会津若松方向に走り、会津本郷町から会津坂下町へのショートカットで県道23号へ入った頃、またまた雨が降り始めたので農協の駐車場でカッパを着ることとなった。単調な農道を行くこと20分で国道49号、会津坂下町に出る。市街地を抜け、新しくできた七折トンネルを走り抜けると磐越道、会津坂下ICである。磐越道に上がったのは午後5時45分であった。磐越道は山岳地帯のため、雪対策もかねて県境付近は長いトンネルが続くが、事件は黒森トンネル内で起きた。後方で板井さんのサイドカーの大きなホーンの音が聞こえたのである。バックミラーで見たがR100RSはボクサーの特徴で振動が大きく、時速70~80ではミラーが像を結ばない。それでもよく見ると後続2台のヘッドライトが確認できたのでそのまま進行したが、後で聞いたらゼルビス石井が対面交通のセンター棒に右足を接触したのだそうだ。いつもは無線で話しかけ眠気を防止してやっているが、今日は福島でエンスト騒ぎの折、接続端子に水が入ったことで勝手に送信をし、やかましい音を出しているとのことで無線を使わずに走っていたのだ。危うく大惨事を免れたのであった。遅い昼食が食後の眠気を誘ったのであろう。運良く全員で新津ICにたどり着いたのは午後6時30分であった。

14 今度はガス欠
新津ICでお金を払うとき、係のおじさんが聞くことには「どこで雨が降っていたね。」新津では雨は少しも降っていなかったのだと言う。ゲートを出たところで後続の支払いを待っているとR100RSはまたまたエンストをしてしまった。勿来で満タンにしてから260㎞位しか走っていないのにタンクがカラカラ状態になったのだ。R80は最低リッター20㎞は走っていたので、R100RSでも400㎞近くまではガソリンが持つはずなのにおかしい。ゼルビス石井に近くのSSからガソリンを買ってきてくれるように頼んで待つこと10分。SSの軽トラを連れて来てくれて急場をしのぐことは出来たのだった。

15 ようやく家
初日は快適なツーリングだったが、二日目はさんざんなこの度の一泊ツーリングは午後7時20分我が家の車庫にR100RSを入れたところで終了した。全走行距離は523㎞。経費は宿泊宴会料他で、込み込みで2万円位かな?
雨中のバッテリー上がりのトラブルはたぶんジェネレーターが悪さをしたのだと思う。又、ガス欠については、考えられないことだがSSの人がガソリンを入れる際に片側の盛り上がりだけで満タンと勘違いをしてタンクを満タンにしなかったのではないかと考えられる。色々アクシデントがあったこの度のツーリングではあったが、次回までに完璧に整備しこれからも楽しいバイクライフを送りたいものである。
お世話になった皆さん本当にありがとうございました。次回9月7日(日)君が代ソーメン・西海岸ツーリングでお会いしましょう。

16 今回の参加者とバイク等 順不同

スズキ   GSX   1400 Ⅰ 円山さん
  〃      〃      〃 古田さん
  〃    イナズマ 1200 出羽さん
  〃    ジェベル 川崎さん
ホンダ    ゴールドウイング1800サイドカー 板井さん+お孫さん2人
  〃    ゴールドウイング1500 小林さん(新津市)
  〃    CB 900 ホーネット 高木さん
  〃    V Four マグナ 小林さん(村松町)
   〃    CB 750 曽川さん
  〃    ゼルビス 石井さん
ヤマハ   DT 250 坪川さん
カワサキ  ゼファー1100 小林さん(加茂市)
BMW    R1150R 小山さん
  〃    R1100GS 野村さん
  〃    R100RS 石井(私)
  〃    R80RT 野瀬さん
スズキ    アルト 小柳さん
ニッサン セレナ 高橋さん+奥さん+お子さん2人

     文責 石 井 孝